「蹴望記」学生サッカーコーチのBlog

16歳からU15コーチ→現在(19歳)U12学生コーチ!サッカーや日常から考えたことを発信していきます

トーナメントの魔力


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高校サッカー奈良選手権決勝

こんにちは!
学生サッカーコーチのNozomiです!
 
僕の住んでいる奈良県では先週の土曜日に
高校サッカー選手権の決勝
一条高校vs五條高校が行われました!
 
今回は簡単なレビューと試合のキーポイント、
(テレビ観戦でしたが😅)
そこから感じたことについて記していきます!

 

(難しい評価軸は

ぜひ読んで頂きたいところです!)

レビュー

試合前の情報

決勝はテレビ観戦となりましたが
それ以前に一条高校の試合は
2回戦(東大寺学園)・準々決勝(奈良育英)
と2試合を現地で見ることができていました!
 

 

その内容がこの試合と
繋がってくる部分があったので
まず、そちらに簡単に触れておきます!

 

一条高校は守備と攻撃で
選手の立ち位置が変わる
可変式フォーメーションを採用していました
 
守備時には4-4-2
攻撃時には4-1-4-1となり

ボールを保持した上でゲームを進めようという
明確な意図が見られたのが印象的でした!

 

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図1

(・攻撃時6番・2番の選手が

  1列ずつ立ち位置を下げる

 ・6番は2試合とも相手が

  2トップということもあり

  CB間に位置どったり

  相手を引き付けるポジョンをとったりして

  効果的な動きをしていた)

両チームの基本姿勢

(守備の立ち位置を基準に)両チームとも
4-4-2を採用していたように見えました
 
その中で一条は
・攻守で立ち位置を変える

・相手が2トップ
 という前述の2試合との共通点があり


対する五條は攻守で立ち位置は変わりませんが
選手一人一人の能力が高く、身体的にも
パワフルな印象を受けました!
(特に前線の選手)

前半

五條の優位性

立ち上がり両チームは
セーフティーにロングボールを
選択するシーンが多く
そこに対する反応の素早さが
問われる時間帯になりました
 
試合を通してですが
アバウトなボールに対して
優位性を保っていたのは五條!
 
ゾーンごとにボール出しを変えるというよりは
どんどんと前線にボールを送り込み
相手に圧力をかけながら

フィニッシュしていくことにも成功

(それがゲームの狙いでもあると感じました)
一条の混乱を誘発していました


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図2

(・サイドにボールがあるとき

 五條はボール周辺に人が集まる傾向

 (図では手前)

 →ボールを失ったあと即時奪還しやすくなる

  というメリットを得る

 ・一条としては○が付いているところに

  運べると一気にチャンス)

 

そうした流れからCKを得た
五條が12分に早々と
セットプレーで先制しました!
 

一条の組織的攻撃

前半20分頃になると
両チームが試合を通して見られる形を
特に攻撃で表現し始めました!
 
五條は図2で示したプレーを頻発させ
不規則に送り込まれたボールにも
鋭い反応を見せます
 
そして、一条はこの時間帯になり
ようやく落ち着いた形で組織的攻撃を
行い始めることが出来ました
(それだけ五條の圧力を
選手は感じていたのだと思います)
 
五條が2トップで
追いかけてくることを見極めると
6番の選手がCBをサポートする立ち位置をとり
(CBの間におちる・相手2トップの脇で受ける)
それがキーポイントとなって

GKを含めてクリーンなボール出しに
成功していきます

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図3

(五條の2トップと中盤のライン間に

スペースがあったことも手伝い

SBを出口の中心にしながら

かなり高い位置まで前進することが出来ていた)

 

前半は、そのままお互いが持ち味を

出しながら1-0のまま終了します

後半

一条の反撃

両チームがどのような修正をするかに

注目だった後半は

立ち上がりから一条が見事なプレーを見せ

流れは完全に一条!

ゲームを支配します

 

図2.3で示した

1.五條のボール周辺密集からの脱出

2.安定したボール保持

の2つを組み合わせることで

後半2分に同点

19分には逆転にまで成功しました!

 

 

混沌

空いたスペースにボールを運ぶ、

立ち位置を見極めボール保持に成功する

といったことでリズムを掴んだ一条でしたが

逆転後20分頃から再びセーフティー

ロングボールを選ぶシーン

が多くなっていきました

(特にGKとDFラインは、その傾向にありました)

 

なぜ、そうなったのかに最初は困惑しましたが

残り時間が少ない中で

「リスクを負いたくない」「逃げ切りたい」

という心理的な作用が働いたのではないかと

思います

 

そこからはボールが落ち着かず

切り替えの連続といった試合内容に…

 

しかし、前半の立ち上がり

そうであったようにアバウトなボールに

対して優位性を持っているのは五條!

トランジションが連続し混沌とする試合展開は

五條にとっては好都合のように感じました

 

その感覚は形となって現れ

37分CKから五條が追い付いて2-2!

延長戦に突入することになりました!

延長

延長に入っても後半終盤の展開が続き

(トランジションの連続)

五條が勢いのまま

CKから得点し延長前半4分に勝ち越し!

 

一条はセットプレーでゾーンとマンツーの

ミックスを採用していたようでしたが

ゾーンの間に入られてしまうことが多く

結果的に3失点

勝負を分けるポイントとなってしまいました

 

その後、

一条の選手に足をつる選手が何人かいたなか

この時間でもパワフルな五條が

前線に送り込まれるボールに

食らい付いていくという展開になり

 

そのままタイムアップで

3-2で五條高校の勝利となりました!!

(五條は選手権初優勝!)

まとめ

ざっくり言うと

・アバウトなボールに強かった五條

・ボールを保持し前進しようとした一条

・お互いが得意とする形から得点につなげる

といった感じでした!

 

難しい評価軸 リーグ戦と…

途中でも触れましたが

なぜ、逆転後に一条は

流れを得る要因となった「繋ぐ」

ではなく「蹴る」という選択をしたのか?

 

やはり「全国」という舞台がかかった

トーナメントでは

表現したいものがあっても

それを出来なくさせる

魔力のようなものがあるのでは?

と感じました

 

一条は県のリーグ戦では2位の五條と

9ポイント差をつけて優勝しています

 

このことはテレビ放送では

ほとんど触れられておらず

(聞き逃したのかも知れませんが…)

試合後まで知りませんでした

 

五條高校の素晴らしい闘いに

リスペクトが必要な一方

一年を通して安定した闘いをした

一条のサッカーも広く評価されるべきだと

個人的には思います!

 

選手権という舞台は大切なものとして

あった上で

一発勝負でないリーグ戦では

1年間を通して闘うために

計画性がなければならないし

そういった環境で毎週狙いを持ってTR

試合を重ねることは

指導者・選手の「積み上げ」になっていくと

思います!

 

一発勝負のトーナメントで勝つことも

凄いことですが

リーグ戦にもっと注目が集まることが

育成年代の全体的な成長(積み上げ)には

欠かせないと思いました!

 

自分も、来年からは選手権だけでなく

リーグ戦も見ていこうと思います!!!

 

では、また!